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であり、具体的な議論がなされてこなかったきらいがある。民間企業内におけるシステムではなくむしろ、パソコン通信やインターネット等、一般社会におけるネットワーク利用の普及が、この数年急速に進み、それに伴い行政に対しても、ネットワークのメリットを活用したサービスの提供が求められるようになったというのが現状であろう。

この官民ネットワークに関する議論を現実化したのが、一般社会におけるパソコン通信やインターネットの普及と、霞が関WANの構築であることは間違いない。各省庁間で電子メールやデーターべースが相互に利用できる霞が関WANに、パソコン通信やインターネットを通じてネットワークのメリットを活用し、民間企業や国民がアクセスしたいという要望が顕在化したものといえよう。

行政機関のネットワークに民間商用ネットワークやインターネットを接続することにセキュリティ上の不安があることは間違いないが、霞が関WANは、各省庁LANの外部に他省庁が自由にアクセスできるサーバーを設置し、省庁間の情報流通を円滑にすることを目標とし、外部からの各省庁LANへのアクセスは完全に遮断するものとなっている。これら外部アクセス用のサーバーには、各省庁だけではなく、地方公共団体のLANからもアクセスできるようにすることは十分考えられるし、技術的には各省庁や地方公共団体に限定することなく、民間、国民への開放も可能な筈である。

このような官民ネットの実現によって、国民にとって利便性の高い行政サービスの実現も期待できる。ネットワークを活用した行政サービスの極端な例として、米国において近く運用されようとしている、イリノイ州におけるインターネットによる運転免許の更新がある。クレジットカードによる手数料の支払いを含め、画面上の操作だけで居ながらにして、運転免許の更新ができるのである。所定の場所に所定の時間に赴く必要がないという、ネットワークを活用することの最大のメリットが活かされたシステムである。このような方式を可能とするシステムの構築、情報伝送の確認、本人確認、セキュリティ対策等、実現までには多くの課題はあるが、技術的にみて現在の日本においても十分可能な方法であると考えられる。

上記のような行政サービスの提供に限らず、官民の情報流通の円滑化にもネットワークの活用が図られるべきである。少なくとも、下記のような問題は改善されるべきである。

* 行政サービスの提供にネットワークが活用されていない。

* 民間機関や国民から行政機関へ電子メールが送れない。

 

 

 

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